1.合意事項が書面に残るため、「言った、言わない」の水掛け論などのトラブルを未然
に防止できること。
口約束でも「意思の合致」が認められれば契約は成立します。
ところが、口約束であると契約内容は明確でないため、特に、対価の支払い、成果物
の納入、権利の取扱いなどを巡ってトラブルとなることが多いです。
契約内容を文書化(契約書を作成)すると、成果物の内容、契約金額、支払方法、権
利の帰属など契約内容(合意事項)が具体的に明示されるためトラブルを予防するこ
とができます。
改正著作権法により著作権ライセンス(使用許諾)契約の当然対抗制度が導入された
ことで、契約書があれば契約そのものが証明されるため、何らかの事情で著作権が移
転しても、譲受人から契約を解除され著作物を利用できなくなる心配もなくなります。
2.取引の条件、ルールなどが具体化されるので、将来、予期せぬトラブルが起きた際の
紛争解決が容易になること。
契約文書があれば、契約期間、契約終了事由、それから、当事者が負うべき責任の範
囲などが明確になるためリスクマネジメントが可能となります。
特に、契約期間及び契約終了事由を定めてないと、法律の定めた事由がない限り合意
解除となるため、解約の申入れだけでなく、相手方の了承が得られなければ契約は終了
せず、それに伴い違約金も発生したりします。
さらに、契約に関する訴訟の裁判管轄は、債務者の住所地または義務履行地を管轄す
る裁判所となるが、第1審に限り、当事者が書面によって合意することによって裁判管轄
を事前に決めることができます。(民事訴訟法11条)
そこで、契約書で自分の住所地など最寄りの裁判所を合意管轄裁判所として明記してお
けば、裁判に係る出費を抑えることができます。
また、調停、仲裁、あっせんなど裁判外紛争処理(ADR)での解決を望む場合は、相手
方の同意が必要であることから、あらかじめADRに付託すること(ADR条項)を明記して
おけば、円滑な紛争解決が期待できます。
それから、契約書に予定損賠賠償額(違約金)を定めておけば損害額を立証する手間を
省くことができます。
3.当事者間の協議で紛争解決ができず裁判となった場合、最も重要な証拠書類となるこ
と。
民事訴訟法は、本人または代理人の署名、押印のある私文書は本物とみなします。
契約書は、必ず当事者の表示と記名、捺印がされるものです。
それに加え、民法により、強行規定に反しないものならば当事者で合意したルールは尊
重されます。
そのため、裁判において契約書は、契約内容が公序良俗、信義誠実の原則(信義則)、
それから、法律の強行規定に違反し無効なものでない限り、最も重要な証拠書類となり
ます。
さらに、相手方の帰責事由(故意または過失)も認定されやすくなります。
4.権利義務関係が明確化されるため、取引が円滑に進められること。
提供する権利またはサービス、それと、契約目的をはっきりさせると契約上、当事者が
負うべき義務や負担すべき費用、さらに自分が受ける利益なども明確になるものです。
公正取引委員会のフリーランス保護を目的としたガイドラインにおいて、発注時に取引
条件を明確にした契約文書を交付しないことは、優越的地位の濫用として独占禁止法
上不適切であることが示されています。
そのため、企業経営や商取引におけるコンプライアンスを維持、確保することができま
す。
また、著作権など知的財産権侵害事件(契約違反も含む)においては損害額の算定が
容易になります。
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