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著作権契約手続完全マニュアル
発注書のポイント

 下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは

 親事業者と下請事業者との公正な取引を実現するため、親事業者に対し一定の義務及び
 禁止事項を課すなど、親事業者と下請事業者の関係を定めた法律 


 下請法が適用される業種

 1.製造委託(金型製造委託も含む)

  親事業者(メーカー、小売業者等)が物品の規格、品質、性能、デザイン、ブランドなどを
  指定して製造を下請事業者に委託すること。

 2.修理委託

  親事業者が修理業者である場合に、修理の全部または一部を下請事業者に行わせる
  こと。 

  例えば、自動車ディーラーが、自動車の修理整備を自動車整備業者に委託すること。

 3.情報成果物作成委託

  情報成果物を提供しまたは制作を請け負う親事業者が、情報成果物の全部または一
  部を下請事業者に委託すること、及び、親事業者が自ら使用するために用いる情報成
  果物の制作を下請事業者に委託すること。

  情報成果物とは
  コンピュータ・プログラム、アニメ・映画・放送番組等の映像と音で組み立てられたコン
  テンツ、ホームページ、ゲームソフト、広告、設計図、デザイン、キャッチフレーズなど

  ソフトウェア開発またはホームページ制作委託、その他コンテンツ制作委託は、情報
  成果物作成委託に該当する。 

 4.役務提供委託

  サービス業を営んでいる親事業者が、他者に提供するサービスの全部または一部を
  下請事業者に委託すること。

  例えば、 運送事業者が、請け負った貨物運送の一部を他の運送業者に委託すること。
        ソフトウェア販売業者が、ソフトウェアの顧客サポートサービスを他の事業者
        に委託すること。 

  なお、事業者が自ら利用するサービスを他の事業者に委託することは含まれない。 


 親事業者と下請事業者

 1.プログラム(ソフトウェア)開発委託の場合

 (1)資本金3億円を超える法人が、資本金3億円以下の事業者と取引をする場合

   親事業者.資本金3億円超の法人
  下請事業者.資本金3億円以下の法人または個人事業者  

 (2)資本金1,000万円超〜3億円の法人が、資本金1,000万円以下の事業者と取引
    する場合

   親事業者.資本金1,000万円超3億円以下の法人
  下請事業者.資本金1,000万円以下の法人または個人事業者 

 2.プログラム以外の情報成果物作成委託の場合

 (1)資本金5,000万円を超える法人が、資本金5,000万円以下の事業者と取引する
    場合

   親事業者.資本金5,000万円超の法人
  下請事業者.資本金5,000万円以下の法人または個人事業者

 (2)資本金1,000万円超〜5,000万円の法人が、資本金1,000万円以下の事業者
    と取引する場合 

   親事業者.資本金1,000万円超5,000万円以下の法人
  下請事業者.資本金1,000万円以下の法人または個人事業者 

 資本金1,000万円を超える法人たる事業者(親会社)から役員の任免、業務の執行また
 は存立について支配を受け、かつ、親会社から製造、修理、情報成果物作成、役務提供
 の委託を受ける法人たる子会社(親事業者)が、受託業務の全部または相当部分(50%
 以上)について資本金がそれ以下の事業者(下請事業者)に再委託する場合についても、
 下請法が適用(トンネル会社規制)されることになる。


 発注書の法定記載事項

 1.親事業者及び下請事業者の名称

 2.情報成果物作成委託など業務を委託した日

 3.下請事業者の給付の内容

  親事業者から下請事業者に委託された結果、下請事業者から提供されるべき情報成果
  物の品目、品種、数量、規格、仕様など、下請事業者が製作する委託の内容が分かるよ
  う明確に記載する必要がある。

  また、委託した情報成果物に著作権など知的財産権が発生する場合は、情報成果物を
  提供させると共に、通常伴う知的財産権の使用範囲を超えて、親事業者に譲渡または許
  諾させることまでを給付の内容に含んで発注しようとする場合には、知的財産権の譲渡、
  ライセンス等も給付の内容(下請代金に含まれること)として明記する必要がある。

 4.下請事業者の給付を受領する期間、場所

  納期は、納入される年月日、分納される場合は、それぞれの年月日を特定して記載する
  必要がある。

 5.下請事業者の給付内容について検査をする場合は、検査を完了する期日

 6.下請代金の金額 (算定方法による記載も可)

  原則として、正式単価を消費税分も含め具体的な金額で記載する必要がある。

  なお、具体的な金額を記載することが困難なやむを得ない事情がある場合(例えば、プロ
  グラム開発委託にて従事したプログラマーの技術水準ごとの作業期間に応じて代金が支
  払われる場合など)は、具体的な金額を自動的に確定させる算定方法を記載することが
  認められる。 

  ( 記載例.プログラマーの時間当たりの単価○○円×所要時間数 )  

 7.下請代金の支払期日

  期日は、成果物を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めな
  ければならない。

 8.手形交付の場合は、手形の金額と満期

 9.一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付または支払可能額、親事業者が下
   請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日 

 10.原材料等を有償で支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡期日、決済期日、
    決済方法
     

 親事業者の禁止事項  

 1.不当な受領拒否

  「正当な理由」がないのに、下請事業者が納入してきた成果物の受領を拒否することの
  禁止

 2.下請代金の支払遅延

  親事業者は、成果物を受領した日から起算して60日以内に定められた支払期日までに、
  下請事業者に対し下請代金(原則として現金)を全額支払わなければならない。

  なお、支払期日までに支払わなかった場合、年14.6%の遅延利息を支払わなければ
  ならない。

 3.代金の減額

  発注時に決定した下請代金の金額または消費税分を、理由なく変更し、減額することの
  禁止

 4.不当な返品

  下請事業者から成果物を受領した後に、正当な理由がなくこれを引き取らせることの禁止

  なお、成果物に欠陥があれば返品できる。

 5.買いたたき

  下請代金の決定に際し、発注した内容と同種または類似の給付内容に対して通常支払
  わせる対価と比べて著しく低い額(消費税または原材料価格分を上乗せした対価よりも
  低く定めることも含まれる)を不当に定めることの禁止 

  また、情報成果物の知的財産権を親事業者に譲渡する旨を合意する場合、譲渡対価の
  設定が困難なことを理由に、一方的に情報成果物の譲渡対価を含まないとすることは「買
  いたたき」となる。

 6.購入・利用の強制

  正当な理由がないのに、下請事業者に対し、親事業者の商品または役務を強制的に購
  入・利用させることの禁止

  例えば、親事業者の指定する製品・原材料などを強制的に下請事業者に購入させること。
        親事業者が指定する保険、リースなどのサービスを強制的に下請事業者に利用
        させて対価を支払わせること。
        消費税の転嫁に応じることと引き換えに商品を購入させまたはサービスを利用さ
        せること。  

 7.早期の決済

  下請事業者に原材料を有償で支給する場合、下請代金の支払期日よりも早い時期に相
  殺したり、支払わせたりすることの禁止

 8.割引困難な手形の交付

  一般の金融機関で割り引くことが困難な手形を交付することの禁止

  現在の運用では、60日を超える手形期間(手形の振り出しから現金を受け取るまでの期
  間)の手形が割引困難な手形とされている。
 

  また、手形の割引き(現金化)にかかる割引料などの費用については、原則として親事業
  者が負担する形となる。

 9.不当の経済上の利益の提供

  下請事業者に対し、協賛金を支払わせたり、仕事を手伝わせるために従業員を派遣させ
  る(消費税の価格転嫁を受け入れる代わりにこのようなことをすることも含む)など、下請
  事業者の利益を不当に侵害することの禁止

  また、情報成果物の知的財産権の譲渡・許諾が下請事業者の給付内容に含まれていな
  い場合、成果物に加えて、無償で製作の目的たる範囲を超えて著作権等の知的財産権
  を親事業者に譲渡・許諾させることは、「不当な経済上の利益の提供」に該当する。

 10.不当な給付内容の変更及びやり直し

  下請事業者にいったん頼んだ業務の内容を勝手に変更すること、及びいったん給付を受
  領した後に、正当な理由なくやり直しさせることの禁止

 11.報復措置

  下請事業者が親事業者の違法行為を公正取引委員会または中小企業庁に知らせたこと
  を理由として下請事業者に対し、取引停止などの不利益的な取扱いの禁止 
      

 違反行為に対する措置、罰則等 

 1.公正取引委員会から、原状回復措置及び、再発防止措置をとるべき勧告(行政処分)を
   受け、企業名などが公表される。
   また、警告などの行政指導を受ける。 

   なお、親事業者が公取委の調査前に下請法に違反した事実を自発的に申告し、下請事
   業者に不当に減らした代金を返還するなどの措置をとった場合は、勧告が免除されます。

 2.発注書を交付しなかった場合、50万円以下の罰金刑を科される。 

 3.改正独占禁止法により、下請法で禁止される行為(受領拒否、返品、支払遅延、減額、
   その他取引条件の不利益設定など)が優越的地位の濫用にあたると明記されたことか
   ら、その違反に対しては課徴金(取引額の1%)も課されます。


 サポート内容

 発注書の作成、チェック 相談により

 (依頼者自身が作成した発注書及び、親事業者たる委託者から提供された発注書が法的
  に問題がないかなどをチェックします。)  

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