ソフトウェアまたはITシステムを共同開発する場合においては事前に、資料、図面、データ
などの秘密情報を開示することが多いかと思われます。
その際、秘密保持契約を締結しておけば秘密情報の漏えいや無断複製を防止することが
できます。
特に、試作品のデザインなどを保護するにあたっては秘密保持契約が大いに役立ちます。
また、「営業秘密」として管理されるため不正競争防止法による保護も受けることができま
す。
そこで、秘密保持契約書(NDA)を作成することをぜひお勧めします。
さらに、2016年1月から施行された改正個人情報保護法により、すべての事業者に情報
漏えいを防止するための安全管理措置が義務づけられることから、第三者と個人データを
やり取りする場合も秘密保持契約を交わすべきです。
契約書を作成することで第三者提供時における記録義務を代替できるメリットもあります。
1.当事者、目的
2.秘密情報の定義、範囲
例えば、業務委託契約にて委託者から開示される資料、図面、データ、個人情報その他
の情報、または契約に関し知り得た営業上、技術上の一切の情報であって、
1)当該情報の開示時に、その媒体に「秘密」である旨が明記されているもの
2)開示後○日以内に、秘密である旨が明記された媒体により、受託者に対し複製物
が交付されたもの
など、具体的に記載する必要がある。
3.秘密保持義務等に関する条項
秘密情報を第三者に開示、漏洩すること、秘密情報を知る必要のない従業員などに
知らせること、目的外の使用を禁止する旨を明記する。
4.秘密情報から除外される情報
1)開示を受けた時点ですでに公知の情報
2)開示前にすでに保有していた情報
3)開示後、受託者の責めに帰すべき事由なくして公知となった情報
4)開示後、受託者が正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく入
手した情報
など明記しておく必要がある。
5.秘密情報の複写、複製の可否に関する条項
6.秘密情報の返還、廃棄に関する条項
その際、返還事由及び、コピーなどの複製物も返還するよう定める必要がある。
7.損害賠償に関する条項
あらかじめ「損害賠償の予定額」を決めておくのがよい。
そうすれば、契約の確実な履行及び、秘密情報の流出の防止が担保される。
8.契約の有効期間
9.紛争の解決方法
10.反社会的勢力を排除するための条項(反社会的勢力排除条項)
暴力団関係企業など反社会的勢力と関係を有していないことを誓約させること、また
は、契約後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合に、無催告で契約解
除できるようにしておくことは、コンプライアンスを維持するためにも重要である。
それに加え、契約を解除した側が損害賠償義務を負わない免責条項も盛り込むべき
である。
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