1.情報の収集または調査
・品種の商品名、特性の概要を把握
・栽培元、販売元ないし輸入元、所在地の追跡
・広告、パンフレット、記事等の収集
・DNA鑑定、栽培試験 など
育成者権侵害の疑いのある品種のDNA鑑定や栽培試験は農研機構に依頼して行うこと
になります。
農研機構に設置された品種保護Gメンが相談窓口となっております。
育成者権侵害の有無については、「植物体自体を比較して、侵害が疑われる品種が、登
録品種とその特性により明確に区別されないものであるかどうか」を基準として判断する
ことになります。
2.当事者間での話し合いまたは内容証明郵便による警告書の送付
育成者権侵害行為の即時停止と種苗等の廃棄、裁判など法的措置をとる容易がある旨
を警告します。
示談(和解)が成立したら和解契約書を交わし解決することになります。
3.ADR(裁判外紛争処理)による解決
日本知的財産仲裁センターでの仲裁、簡易裁判所での民事調停など
4.差止請求
栽培等の中止、それと、侵害行為によって生産された種苗、収穫物、加工品、または侵
害行為に供した物(例えば挿し木用の枝をとるためだけに栽培されている植物など)の廃
棄を請求することができます。
5.損害賠償請求
損害賠償を請求するには、侵害者に故意または過失がなければならないが、育成者権
侵害については侵害者の過失が推定(種苗法35条)されるため、
逆に、侵害者の方で自ら過失がないこと(例えば先育成であることなど)を証明できない
限り、過失が推定されることになります。
損害額については、次のいずれかの方法で、許諾料相当額(許諾料×侵害者が譲渡し
た数量)、侵害者が得た利益額(侵害者の単位利益額×侵害者が譲渡した数量)、
侵害者が譲渡した侵害品の数量に権利侵害がなければ権利者が販売することができた
正規品の単位あたりの利益額を乗じた額(正規品の単位利益額×侵害者が譲渡した数
量)を損害額として請求することができます。
6.信頼回復措置請求
例えば、新聞、雑誌等への謝罪広告の掲載など
7.不当利得返還請求
侵害者に故意・過失がなくても、種苗等を販売するなど育成者権侵害行為によって利益
を得ている場合は、その利益を不当利得として返還請求することができます。
その他の対応手段
1.刑事告訴
育成者権侵害は刑事罰の対象(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、
法人については3億円以下の罰金)ともなっています。
2.輸入差止め申立て
判定制度について
改正種苗法により、育成者権者や侵害が疑われている者などが、農林水産省に対し、
登録品種と侵害疑義品種の比較を行って、登録品種の特性表との区別性の有無に
ついて判断を求めることができる判定制度が導入されました。
判定制度を活用することにより、裁判での重要な証拠となるほか、当事者間での示
談や裁判外紛争解決手続(ADR)などの迅速な紛争解決も期待されます。
Copyright (C) 2011-2024 Yuko Ito All Rights Reserved.