2008年の公益法人改革によって、一般社団法人を設立することができるようになりま
した。
一般社団法人とは、非営利を目的として設立される法人であるが、ここで言う「非営利」
とは、社員(団体の構成員)に対する剰余金の分配、いわゆる、利益の配当を行わない
という意味であり、会社のように営利を目的とした事業を行い利益を得ることなどもでき
ます。
一般社団法人は、町内会、同窓会、協議会といった団体が法人化するのに適している
ものです。
また、社会的問題の解決を目的とするソーシャルビジネスないしコミュニティビジネスを
行うのにも適しております。
それに加え、地理的表示登録をするための団体要件を満たすためや、親族間で家族
信託を実施するために一般社団法人を立ち上げることも選択肢の1つです。
当行政書士事務所は、一般社団法人設立手続きのサポートも行っております。
また、法人設立後は、議事録の作成など法務面でのサポートもいたします。
一般社団法人の機関設計
1.社員総会+理事
2.社員総会+理事+監事
3.社員総会+理事+監事+会計監査人
4.社員総会+理事+理事会+監事
5.社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人
一般社団法人設立のスケジュール
1.設立時社員による定款の作成
一般社団法人設立にあたっては、2名以上の社員が必要となります。
設立後においては社員は1名でも構いません。
社員(構成員)については、自然人のみならず、法人もなることができます。
定款の記載事項
1.目的
2.名称
3.主たる事務所の所在地
4.設立時社員の氏名または名称及び住所
5.社員(構成員)の資格の得喪に関する規定
6.公告方法
7.事業年度
8.監事、理事会または会計監査人を設置する場合は、その旨の定めなど
なお、会社には認められている構成員に剰余金の分配(利益の配当)を行う旨を定
款で定めたとしても無効となります。
2.公証人役場での定款認証
公証人役場で定款の認証を受けることによって効力が生じることになります。
定款認証の手数料は5万円となっております。
なお、会社設立とは異なり定款への印紙代は不要です。
3.理事または代表理事など役員の選任
設立時の社員総会において、理事などの役員を社員の過半数の決議によって選任
することになります。
4.設立登記の申請
設立時調査が終了した日などから2週間内に、主たる事務所の所在地を管轄する
法務局または地方法務局に設立登記をすることによって一般社団法人は成立しま
す。
一般社団法人設立登記にかかる登録免許税は6万円となっております。
登記が完了するまでは約1週間となっております。
一般社団法人運営のポイント
1.社員総会
社員総会(定時総会)は、毎年1回、事業年度の終了後に開催し、計算書類の承認
などを行う必要があります。
社員総会は一般社団法人の組織、運営、管理その他一般社団法人に関する一切
の事項について決議することができ、原則として、総社員の議決権の過半数を有す
る社員が出席し、その決議は出席した社員の過半数をもって行われます。
ただし、定款の変更、事業の譲渡、解散、合併などの決議については、総社員の半
数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行わなけれ
ばなりません。
社員総会終了後、議事録(社員総会議事録)を作成し、10年間保存しなければなり
ません。
2.理事
社員総会以外の機関として、1人または2人以上の理事を設置する必要があります。
理事は社員総会の決議によって選任することになります。
原則として、理事が業務執行権を有します。
理事が2人以上いる場合の業務執行については、その過半数をもって決定すること
になります。
理事と法人との関係は委任にあることから、理事は法人に対して善管注意義務及び
忠実義務を負います。
また、法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直
ちに社員などに報告する義務もあります。
これに対し、社員は、理事が法人の目的範囲外の行為その他法令もしくは定款違反
の行為を行ったり、これらの行為を行うことにより法人に著しい損害をもたらすおそれ
があるときは、理事に差止めを請求することができます。
さらに、理事の競業及び利益相反取引については、社員総会に重要な事実を開示し、
その承認を受け、かつ事後報告しなければなりません。
自己若しくは第三者の利益を図る目的または法人に損害を加える目的で、任務に反
する行為をし法人に財産上の損害を加えたときは、特別背任罪で刑事責任(7年以
下の懲役または500万円以下の罰金)に問われることにもなります。
理事の任期は、原則として2年となっております。
それゆえ、任期が満了したら、その都度、役員の変更登記を行う必要があります。
なお、役員などの変更登記を5年間怠ると、みなし解散の処分を受けることになりま
す。
3.計算書類
一般社団法人設立時に貸借対照表を作成し、毎事業年度ごとに、貸借対照表、損
益計算書、事業報告書、これらの附属明細書を作成し、10年間保存する義務があ
ります。
さらに、貸借対照表については、定時社員総会で承認された後に、官報またはウェ
ブサイト上など定款で定めた方法で公告する必要もあります。
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