民間企業など事業者が新たなビジネスを開始したり、新商品や新サービスを提供するに
あたり、その行為が法令に抵触しない(違法でない)ことが明確でないため、事業活動が
萎縮してしまうことはよくありがちです。
それに対応するため、事前に法令適用の有無を確認照会できる制度(法令適用事前確
認手続)があります。
法令適用事前確認手続として、閣議決定「行政機関による法令適用事前確認手続の導
入について」によるノーアクションレター制度と、産業競争力強化法によるグレーゾーン
解消制度があります。
また、法令適用事前確認手続により規制に抵触することが分かったとしても、企業実証
特例制度を活用して規制の撤廃など特例措置を求めることができます。
法令適用事前確認制度を活用することは、予防法務・戦略法務の視点からとても大事な
ことと言えます。
ノーアクションレター制度とは
事業者が行おうとする行為が法令に基づく不利益処分の適用の可能性があるかどうか
などを、法令を所管する行政機関(規制所管官庁)に照会して回答する制度
ノーアクションレター制度で照会できる事項は以下の点についてとなっております。
1.法令に基づく許認可などを受ける必要があるかどうか (許認可などを受けない場合、
罰則の対象があるかどうか)
2.法令に基づく届出、登録、確認などを受ける必要があるかどうか (届出、登録、確認
などを受けない場合、罰則の対象があるかどうか)
3.法令に基づく不利益処分の適用の可能性があるかどうか (ある行為をした場合また
はしなかった場合に許認可の取消しなどの対象になるかどうか)
回答については、原則として申請から30日以内に行われます。
また、これまで照会に応じてなされた回答は規制所管官庁のウェブサイトに公表されて
おります。
グレーゾーン解消制度とは
事業者が新たに検討している事業が法令に抵触するかどうかについて事業を所管する
行政機関(事業所管官庁)である経済産業省に確認を依頼し、経済産業省が法令を所
管する官庁(規制所管官庁)に照会して回答する制度
上記のノーアクションレター制度においては、事業者が規制所管官庁に直接照会する
必要があるのに対し、グレーゾーン解消制度においては事業所管官庁である経済産
業省に確認を申請することから、その分、事業者側の負担が軽減されます。
また、ノーアクションレター制度において照会できる事項はあくまで上記の3つに限定さ
れているのに対し、グレーゾーン解消制度においては確認照会できる事項に制限はあ
りません。
さらに、ノーアクションレター制度による回答は、あくまで照会法令に関する一般的な解
釈を示すもので、個別事案に関する法令適用の有無を回答するものではありません。
それに対し、グレーゾーン解消制度では個別事案に関する回答が得られます。
よって、グレーゾーン解消制度では、法規制に抵触するかどうかについて白黒をはっき
り付けることができます。
回答については、原則として申請から1ヵ月以内に行われます。
新事業特例制度について
新事業を行おうとする事業者による規制の特例措置の提案を受けて、事業所管官庁
である経済産業省と規制所管官庁との協議により、安全性などの確保を条件として、
企業単位で規制の特例措置を認める制度
例えば、新たに検討している事業がグレーゾーン解消制度により規制に抵触すると
回答された場合に、規制が求める安全性などを確保する措置を講じることによって、
例外的に規制が撤廃され、事業に踏み切ることができるようになります。
グレーゾーン解消制度によってなされた回答及び新事業特例制度が認められたケ
ースについては経済産業省のウェブサイト上で公開されております。
規制のサウンドボックス制度について
生産性向上特別措置法により、ドローン飛行やシェアリングエコノミーといった革
新的技術ないしサービスを事業化する目的で現行法の規定を一時的に凍結する
制度
上記の新事業特例制度は、現行法の規制を例外的に緩和するものであるのに
対し、規制のサウンドボックス制度は規制を停止し、一時的に法規制を受けなく
なる点で異なっております。
制度を利用するにあたっては、新技術等実証計画を作成し、主務大臣に提出し
認定を受ける必要があります。
その際は、まず窓口となる革新的事業活動評価委員会に相談することになりま
す。
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