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著作権バイブル
著作物の自由利用

 自由利用とは

 著作権者、または著作隣接権者の許諾なしに、著作物等が使用できること。


 自由利用の種類

 1.私的使用のための複製

  個人的または家庭内、少数の友人間など限られた範囲内で使用する目的で、使用する本
  人が著作物を複製すること。 

  例えば、テレビ番組を後日見るためにビデオテープに録音すること
       CDに収録されている音楽をテープに録音すること

  なお、私的使用のために録音・録画した物を、インターネットで配信する場合は、「私的使
  用」に当たらない。  

  例外

  1.自動複製機器により複製する場合

   自動複製機器とは
   複製の機能を有し、これに関する装置の全部または主要な部分が自動化されている
   機器

   例えば、レンタルビデオ店などに設置されている高速ダビング機器

  2.コピ−プロテクション(技術的保護手段)及び暗号型技術を回避して複製する場合

   コピープロテクションとは
   電子的方法、磁気的方法その他人間の知覚によって認識できない方法により侵害行
   為の防止または抑止する手段 

   例えば、CDのSCMS、DVDのCGMSまたはCSS、Blu‐rayのACCSなど    

  3.デジタル方式の録音・録画機器により複製する場合

  4.海賊版を録音・録画する場合

   例えば、違法音楽配信サイトやファイル交換ソフトなどによって違法に配信されたコン
   テンツをダウンロードすること 

 2.付随対象著作物(写り込み)としての利用 

  写真または映像の撮影により写り込んだ付随的著作物をそのまま複製または翻案して
  利用することや、伝達すること。 

  例えば、絵画が背景に写り込んだ写真をブログなどに掲載すること
       絵画や音楽が録り込まれた映像をインターネット配信すること

 3.検討の過程における利用  

  著作権者などの許諾を得て、または裁定を受けて著作物を利用しようとする者が、利用
  についての検討過程において必要と認められる範囲で利用すること。

  例えば、キャラクターなど著作物を商品化する前提で企画書などに掲載すること
       裁定制度を利用することを検討するため資料に著作物を掲載すること

 4.思想または感情の享受を目的としない利用 

  技術の開発等のための試験の用に供する場合、情報解析の用に供する場合、人の知
  覚による認識を伴うことなくコンピュータによる情報処理の過程における利用等に供す
  る場合、その他著作物に表現された思想または感情を自ら享受しまたは他人に享受さ
  せることを目的としない場合に、その必要と認められる限度において利用すること。

  例えば、人工知能(AI)開発のために学習用データをデータベースに記録すること
       プログラムの調査解析を目的とするリバース・エンジニアリング など

 5.図書館等における複製

  図書館等が利用者の求めに応じ、その調査研究に使用するため著作物の一部分を複
  製及びメール送信し、または所蔵資料の保存活用等の目的のために著作物を複製す
  ること、さらに、国立国会図書館が所蔵資料をデジタル化し公立図書館などにインター
  ネット送信すること。

  要件
  1.対象となる図書館
   1)国立国会図書館
   2)都道府県立図書館、市町村立図書館
   3)大学、高等専門学校の図書館

  なお、小中学校、高校の図書館、企業内の図書館は含まれない。
 
  2.図書館に所蔵する図書資料の複製に限られること
  3.利用者の調査研究を目的とした複製に限られること 
  4.利用者1人につき一部のコピーを提供すること など

 6.引用

  報道、批評、研究などの目的で他人の著作物の全部または一部を自己の著作物の中
  に採録すること。

  引用の要件
  1.公表された著作物であること
  2.引用の必要性ないし必然性が一般的に認められること
  3.報道、批評、研究などのための正当な範囲内であること
  4.引用部分とそれ以外の部分の主従関係が明確であること
  5.カギ括弧などにより引用部分が明確になっていること
  6.出所を明示すること

 7.官公庁の広報資料等への転載

  国又は地方公共団体の機関が、一般に周知させることを目的として作成し、その著作名
  義にて公表する広報資料、調査統計資料、報告書などの著作物を、説明の材料として新
  聞、雑誌その他刊行物に転載すること。

 8.教科用図書等への掲載

  学校教育で使用される教科用図書及び、並行して使用される教材に学校教育の目的上
  必要と認められる範囲で著作物を掲載すること。

  教科用図書とは
  小学校、中学校、高校その他これに準ずる学校で使用される生徒用の教科書であって、
  文部科学大臣の検定を経たもの。  
   
 9.教科用拡大図書等の作成のための複製

  特別支援学校、小中学校の特別支援学級にて、弱視の児童生徒のために、既存の教科
  書の文字、図形などを拡大で複製すること。 

 10.学校教育番組の放送等

  学校内における授業で使用されるNHKなどの放送番組で著作物を放送または有線放
  送及び、同時再送信によるインターネット放送をすること、それから、放送番組用または
  有線放送番組用の教材に掲載すること。 

 11.学校等における授業での使用を目的とする複製 

  学校その他教育機関において教育を担当する者及び授業を受ける者が、授業の過程に
  おける使用を目的として必要と認める範囲で著作物を複製すること。 

  学校その他教育機関とは
  1.学校教育法上の学校(小中学校、高校、大学など)
  2.公民館、青年の家などの社会教育施設
  3.学校法人が運営する予備校 など 

  なお、個人経営の学習塾、企業の研修施設は含まれない。

  教育を担当する者とは
  1.教科を担当する教職員
  2.出張授業を行う民間人 など

  授業を受ける者とは
  1.学校の児童生徒、学生
  2.社会教育施設の受講者 など

 12.試験問題としての複製、公衆送信

  学識技能に関する試験または検定の目的上必要と認められる範囲で、試験または検定
  の問題として著作物を複製すること、もしくはホームページ上に試験問題を掲載すること。

  学識技能試験とは
  1.大学などの入学試験
  2.企業の入社試験
  3.国家資格試験 など 
  
 13.視覚障害者等のための複製等

  著作物を点字に訳して複製すること、著作物を点字データにしてインターネットで配信する
  こと、それから点字図書館や福祉施設、公立図書館において、視覚障害者向け貸出用に
  著作物を録音することや、録音図書をインターネット配信すること、加えて、発達障害者、
  色覚障害者、肢体不自由者などのために、拡大図書、音訳図書、デジタル図書など必要
  とする方式で複製すること。 

 14.聴覚障害者等のための複製等

  聴覚障害者の福祉増進を目的とする事業を行う者(公立図書館も含む)が、放送・有線放
  送される音声内容を字幕化して、聴覚障害者向けに、インターネットでリアルタイム字幕を
  配信すること、加えて、発達障害者、難聴者などのために、字幕の付与、手話翻訳など必
  要とする方式で複製すること。

 15.営利を目的としない上演等

  1)営利を目的としない上演等 

   例えば、学校の文化祭などで上演、演奏すること、公民館で映画を上映すること。

   要件
   1.営利を目的としないこと
   2.聴衆から料金を受けないこと
   3.公表された著作物を上演、演奏、上映または口述することに限られること
   4.出演者などに報酬が支払われないこと
   5.慣行がある場合は著作物の出所を明示すること

  2)営利を目的としない有線放送及び同時再送信によるインターネット放送

   例えば、難視聴解消、または景観維持のため共用アンテナからマンション内に配信す
   るなど放送を受信して直ちに有線放送すること。

   要件
   1.営利を目的としないこと
   2.視聴者から料金を受けないこと
   3.放送された著作物を有線放送すること

  3)営利を目的としない伝達

   例えば、飲食店に置いてあるテレビなど、家庭用受信機を用いて、放送される番組を
   公衆に伝達すること。

   要件
   1.営利を目的としないこと
   2.聴衆から料金を受けないこと
   3.一般の家庭用受信機を用いて公衆に伝達すること 

  4)営利を目的としない貸与

   例えば、市立図書館など地方公共団体が運営する図書館において、本や音楽CDの
   貸出しをすること。

   要件
   1.営利を目的としないこと
   2.利用者から料金を受けないこと
   3.公表された著作物であること
   4.貸与によって公衆に提供されること

  5)視聴覚資料の頒布

   例えば、ビデオライブラリーによるビデオの貸出し(公立図書館によるビデオの貸出し
   も含む)、または館内でビデオを上映することなど。

   要件
   1.営利を目的としないこと
   2.利用者から料金を受けないこと
   3.視聴覚資料の一般貸出しを目的とする視聴覚施設で行われること
   4.公表された映画の著作物を貸与によって頒布すること
   5.映画の著作物の頒布権者に補償金を支払うこと

 16.時事問題に関する論説の転載

  新聞または雑誌に掲載された社説、巻頭言などの論説を、他の新聞、雑誌に転載したり、
  放送・有線放送、及び同時再送信によるインターネット放送をすること、それから放送・有
  線放送されたキャスターなどのコメントをウェブサイトで送信すること。

  なお、転載等を禁止する旨の表示のある論説は転載が禁止される。   

 17.政治上の演説等の利用

  公開して行われた政治上の演説、裁判手続での弁論、証言などを複製して利用すること、
  それから、国または地方公共団体の機関で行われた公開の演説等を、報道の目的上正
  当と認められる範囲で、新聞、雑誌に掲載したり、放送及び同時再送信によるインターネ
  ット放送をすること。 

 18.時事の事件の報道のための利用 

  写真、放送などによって事件を報道する場合に、当該事件を構成する著作物、または事
  件の過程で見られ聞かれる著作物を、報道の目的上正当な範囲で複製したり、事件の
  報道に伴って利用すること。

 19.裁判手続等における複製等

  裁判手続、及び立法、行政の目的のための内部資料として必要と認められる範囲で著作
  物を複製・公衆送信すること。

 20.特許審査手続等及び薬事行政における複製等

  特許、実用新案、意匠、商標など特許庁への出願さらに地理的表示登録、品種登録、医
  薬品等の承認にあたり、行政庁が申請人に審査結果の理由を提示したり、申請人が行政
  庁に出願に係る根拠を立証するために著作物を複製・公衆送信すること。  

 21.情報公開法による開示のための利用

  行政機関の長、独立行政法人等または地方公共団体の機関が、情報公開法などに基づ
  き、著作物を開示する場合に、必要と認められる範囲で著作物を利用すること。 

 22.公文書管理法による保存等のための利用 

  国立公文書館または地方公文書館の長が、公文書管理法などに基づき公文書等を永久
  保存するため必要と認められる範囲で複製し利用すること。

 23.国立国会図書館法によるインターネット資料収集のための複製 

  国立国会図書館が、国、地方公共団体、独立行政法人等の公的機関のホームページな
  どインターネット上で発信する情報(インターネット資料)を収集するため必要と認められる
  範囲で記録媒体に複製すること。

 24.放送事業者による一時的固定

  放送事業者または有線放送事業者が、放送のための許諾を得た著作物を、円滑に放送
  するため一時的に録音・録画すること。

  なお、一時的な録音・録画物は6カ月以内に廃棄などする必要がある。

 25.美術または写真の著作物の原作品の所有者による展示

  美術の著作物、または写真の著作物の原作品の所有者、若しくは所有者から同意を得た
  ものが、公衆に直接見せる目的で原作品を展示すること。

  なお、美術の著作物の原作品を、街路、公園、またはビルの外壁など見やすい屋外の場
  所に展示する場合は、著作権者の許諾が必要である。

    
 26.公開の美術の著作物の利用

  街路、公園、建物の外壁などの屋外の場所に恒常的に設置された美術の著作物、または
  建築の著作物を、写真複製、テレビ放送、映画に収録するなどして利用すること。

  また、路線バスに描かれた絵画もこれに含まれる。

  例外
  1.彫刻のレプリカを製作し、またはレプリカを譲渡する場合
  2.模倣建築をする場合
  3.他の屋外の場所に恒常的に設置するために美術の原作品を彫刻などにして複製する
    場合
  4.屋外に恒常的に設置された美術の著作物を、絵葉書、ポスター、カレンダー、それから
    インターネットの壁紙などにして販売する場合
    
 27.美術の著作物の展示に伴う複製

  美術の著作物または写真の著作物の原作品により、公に展示する者が、観覧者のため
  に、著作物の解説または紹介、所在に関する情報の提供を目的とするパンフレット、カタ
  ログ、目録などの小冊子、さらには、電子機器に著作物を掲載すること。

  例えば、展覧会において、紹介用のパンフレットに展示品を掲載して配布すること
       タブレット等を用いて作品を解説すること 
  
 28.プログラム著作物の複製物の所有者による複製

  プログラムの複製物(CD-ROMなど)の所有者が、自らコンピュータで使用するため必要
  と認められる範囲で、プログラムを複製したり、翻案すること、それから、翻案により開発さ
  れた二次的著作物を複製すること。
  
  例えば、減失等に備えてバックアップコピーを作成すること
       使い勝手をよくするためにバージョンアップをすること
       バージョンアップされた翻案物を複製すること

 29.インターネット販売での美術品等の画像掲載

  美術または写真の著作物の譲渡等の申出のために商品紹介用画像をサイトに掲載する
  こと。

  例えば、ネットオークションに出品するために美術品や写真を掲載すること

 30.電子計算機の利用に付随する利用等

  コンピュータ等における利用において、円滑または効率的に行うための付随的な利用を目
  的とする場合や、コンピュータ等における利用を行うことができる状態を維持し、状態に回
  復することを目的とする場合に、その必要と認められる限度において利用すること。

  1)電子計算機利用時に必要な複製 

   コンピュータなどにおいて著作物を使用する場合において電子機器内部の技術的過程
   で情報を蓄積すること。 

  2)送信の効率化等のための複製

   プロバイダなどサーバ管理を業とする者が、アクセス集中による送信遅滞等の防止、サ
   ーバの障害発生時における復旧、中継の効率化等の目的で複製すること。

   例えば、プロバイダが有害情報等のフィルタリングを目的とした複製 など

  3)情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用 

   情報通信の技術を利用する方法による情報の提供を円滑かつ効率的に行うための準
   備に必要なコンピュータによる情報処理を行う目的で必要と認められる範囲において記
   録媒体に記録すること。 

  4)機器の保守・修理等における一時的複製 

   機器の保守・修理などを行う場合に、ハードディスク等に保存されている著作物をバック
   アップ機器などに一時的に複製し、保守・修理などの後に元の機器に複製すること。

 31.電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等

  コンピュータ等による情報処理により新たな知見や情報を創出する一定の行為について、
  その結果の提供にあたり、著作物の一部を軽微な形で提供し、及び、準備のために利用
  すること。 

  例えば、ホームページなどを丸ごとサーバに蓄積すること(検索エンジンのキャッシュ)
       書籍検索サービスによる内容の表示 など

  
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