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著作権よくある質問集

Q1.著作権法で保護される著作物とは?

A1.著作物は著作権法2条1項1号で、「思想または感情を創作的に表現したものであって、
    文芸、学術、美術または、音楽の範囲に属するもの」とされ、10条で著作物の種類が
    規定されています。 

    著作物となるには、まず創作的な表現、いわゆる創作性がなければなりません。
    この創作性は、独創的な表現を意味するものではなく、著作者の何らかの個性が表れ
    ていれば足りるものです。

    そして、これはあくまで例示的なものであり、創作性など著作物の要件を満たしていれ
    ば著作権法で保護される著作物となります。

    例えば、著作者の個性が表現されたホームページ、漫画のキャラクター、あるいは、飲
    食店などのメニュー表、コースターやユニホームのデザイン、及び、会社のパンフレット
    や広告物、商品パッケージのデザインなどが挙げられます。 
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Q2.アイデアは著作権法で保護されるの?

A2.アイデア自体は保護されません。なぜなら、著作権法が保護しているのは、「創作的な
    表現」であるからです。

    アイデアとは、手順、工程、方式、操作方法、概念、原理など既成要素を組み合わせ
    たものであり、それ自体創作的な表現が具体化されたものでないからです。

    その代わり、アイデアは、秘密管理することで営業秘密として不正競争防止法により、
    特許庁に出願することで特許法または実用新案法により保護されます。

    なお、料理本や薬の製法を書いた論文などのように、アイデアを解説した物は、著作
    物として著作権法の保護を受けます。  
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Q3.プログラム著作物のプログラムの範囲は?

A3.著作権法上、プログラムは「電子計算機を機能させるための指令を組み合わせたもの
    として表現したもの」とされています。
    つまり、コンピュータに対する指令を表現した著作物であります。 

    プログラムの著作物性が認められるには、指令の表現自体、同表現の組合せ、同表
    現の順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり、それがありふれた表現では
    なく、著作者の個性が表れていることを要します。

    そこで、人間が創作した部分であるソース・プログラムはもちろん、その複製物である
    オブジェクト・プログラムも著作権法により保護されます。

    なお、C言語などの「プログラム言語」(プログラムを表現する手段としての文字等)、イ
    ンタフェースなどの「規約」(プログラム言語の用法についての特別の約束)、アルゴリ
    ズムなどの「解法」(コンピュータに対する指令の組合せの方法)は、表現する手段及
    び、表現するためのルール、アイディアに過ぎないためプログラムの著作物に含まれ
    ません。
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Q4.外国人が創作した著作物は保護されるの?

A4.最初に発行された場所が日本国内であれば保護されます。(発行地主義)

    また、ベルヌ条約及び、万国著作権条約の内国民待遇の原則により、外国人の著作物
    は日本国内で同等の保護を受けます。
   (ベルヌ条約、万国著作権条約の双方に加盟している場合は 、ベルヌ条約が優先して
    適用される。) 

    なお、無国籍者、亡命者の著作物につきましては、万国著作権条約加盟国に常時居住
    する者については著作権の保護を受けます。
                                                質問集に戻る

Q5.日本人が創作した著作物は外国でも保護されるの?

A5.ベルヌ条約及び、万国著作権条約の加盟国であれば、内国民待遇の原則により保護さ
    れます。

    しかし、万国著作権条約の加盟国で保護されるには、著作物に、(C)マークの記号、著
   作権者の氏名、最初の発行年を表示しなければなりません。
                                                質問集に戻る

Q6.複数の人が一緒になって創作した著作物の著作者は?

A6.この場合、創作された著作物は共同著作物となり、創作に携わった者全員が著作者(共
    同著作者)となります。

    著作権は共同著作者が共有しているので、著作物を利用したい場合は著作者全員の許
    諾を得なけばならず、一人でも拒否した場合は利用することはできません。
    共有者自身が利用する場合も他の共有者の同意が必要となります。

    しかし、共同著作者への明白な背信行為があるなど正当な理由がなければ同意を拒む
    ことができないとされています。 

    なお、共同著作物を製作する際は、将来の権利行使を巡るトラブルを避けるため、事前
    に権利行使の方法などについて定めておくこと、または、著作者人格権及び著作権を代
    表して行使する者を定めておくことをお勧めします。 

    それから、共同著作物の著作権侵害に対しては、各共有者が単独で差止請求すること
    ができ、また持分に応じて損害賠償請求することができます。 
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Q7.会社の従業員が業務上作成した著作物の著作者は?

A7.会社の従業員が作成した著作物は「職務著作」とされ、原則として会社が著作者となり、
    著作権も会社に帰属します。

    しかし、労働契約、就業規則などにおいて、従業員に著作権が留保される旨の定めが
    ある場合は、従業員が著作権者として扱われます。

    そこで、職務著作と判断されない場合に備えるためにも、労働契約、就業規則の定め
    で、従業員が業務上作成した未公表のものも含めすべての著作物は、会社が著作者
    であり、二次的著作物に関する権利も含めすべての著作権が会社に帰属することを明
    確にしておくべきです。
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Q8.派遣会社の社員が製作した著作物の著作者は?

A8.「どちらの指揮命令下で著作物を製作したか」により判断が分かれます。

    もし、派遣先の会社の中で、その指揮命令を受けながら著作物を製作した場合は、職
    務著作として派遣先の会社が著作者となります。

    なお、派遣社員が派遣先企業に著作物を持ち込んだ場合は職務著作とはならず、派
    遣社員に著作権が帰属します。 

    判例においても、「法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみて、法人等の
    指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人等が支払う金銭が労務
    提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮命令の有無、支払方法
    等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべき」としております。

    そこで、派遣先との著作権の帰属を巡るトラブルを避けるため、存在事実証明書を作
    成し、自らの著作物であることを公的に証明しておくべきです。 

    それから、請負または業務委託契約によりプログラム開発など著作物製作を行うため
    派遣された者に対し、業務を行うにつき派遣先(委託者)が直接、指揮命令などすると
    偽装請負になります。

    偽装請負は、労働者派遣法及び職業安定法違反となるので注意すべきです。
    この場合は、信義則上、派遣先の職務著作は否定されます。

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Q9.著作物の製作を外部に委託した場合の著作権の扱いは?

A9.著作物を製作した者(受託者)が著作者となり、著作権も帰属します。なぜなら、著作権
    法は著作物を実際に創作した者を著作者として取り扱っているからです。

    そこで、委託する際の契約の中で、受託者から著作権を譲り受ける条項を設ける必要
    があります。 
    翻訳権、翻案権、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、譲渡の対象になっ
    ていることを明記しないと譲渡されなかったものと推定されるので必ず明記しなければな
    りません。 

    そのため、すべての著作権を譲渡する場合は、「すべての著作権(著作権法第27条及
    び第28条に規定されている権利を含む)を譲渡する」と明記する必要があります。

    その際、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に抵触しないか注意する必要があります。
    公正取引委員会の「役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法
    の指針」(役務ガイドライン)では、取引上優越した地位を利用して、一方的に成果物に
    係る著作権を委託者に譲渡させたり、受託者の成果物の二次使用を制限する場合は、
    「優越的地位の濫用」にあたるとされます。 

    そのため、著作権の譲渡または二次使用の制限に対する対価を別途支払ったり、当該
    対価を含めての委託費用を提示する必要があります。

    また、下請法(下請代金支払遅延等防止法)により、親事業者(資本金1,000万円超以
    上)となれば、契約時に別途、法定事項を記載した発注書を作成し、受託者(下請事業
    者)に交付しなければなりません。
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Q10.外部の業者に委託し製作した著作物の内容は自由に改変できるの?

A10.原則として内容を自由に改変することはできません。なぜなら、委託者には一身専属
     的に著作者人格権として同一性保持権が帰属するからです。

     そこで、自由に改変できるよう契約の中で、著作者人格権を行使しない旨の特約(著
     作者人格権不行使特約)を明記しておくべきです。 

     ただし、著作者人格権不行使特約を明記したとしても、著作者の名誉・声望(社会的
     評価)を害する方法で使用することは著作者人格権侵害と見なされるので注意すべ
     きです。
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Q11.ホームページ制作において他人の著作物を使用する際に注意すべきことは?

A11.まず、使用する著作物の複製権を侵害しないよう注意する必要があります。
     著作権法は「私的使用のための複製」は許容していますが、ホームページは不特定多数
     の人からのアクセスが可能であることから、「私的使用」の範囲を超えるものであります。
     そのため、権利者から複製の許諾を得る必要があります。

     それに加え、ホームページをサーバにアップロードすることは送信可能化することである
     ため、自動公衆送信の許諾をも得る必要があります。

     次いで、公正に著作物を「引用」することです。
     引用とは、あくまで批評、紹介、検証などの目的で使用することであって、権利者の許諾
     は必要としません。

     そこで、引用と認められるためには、他人の著作物にカギ括弧をつけるなどして、自分
     の著作物と他人の著作物とを明確に区別することができること、自分の著作物が主で、
     他人の著作物が従の関係にあることが求められます。

     また、引用元(出所)を明示する必要があります。
                                               質問集に戻る

Q12.ホームページ上で音楽を流すことは?

A12.ホームページ上で音楽の歌詞や曲を無断で使用することは作詞家、作曲家の著作権を
     侵害することになります。
     これは、自ら演奏したものを公開する場合であってもです。

     そのため、著作権者ないしJASRAC(日本音楽著作権協会)などの著作権管理事業者
     の許諾や著作権使用料の支払いが必要となります。

     また、CDの楽曲やライブ映像を無断で使用することは、アーティストやレコード会社など
     の著作隣接権を侵害することになります。 

     最近は、動画共有サイトを中心にサイト管理者が著作権管理事業者と包括利用許諾契
     約を結び、サイト管理者が利用者に代わって著作権使用料を支払うケースが増えてます。

     さらに、原盤権者との間でも同様の契約を交わす動きが出ています。
     この場合、管理事業者が管理する楽曲及び原盤権者が保有する音源については許諾
     が不要となります。 

     詳しくは、サイト管理者の利用規約を確認するのが良いでしょう。
                                                質問集に戻る

Q13.ホームページに他人の撮影した写真を掲載することは?

A13.他人の撮影した写真を勝手に掲載することは、撮影者の著作権を侵害します。
     それに加え、写真が人物を撮影したものであるときは肖像権侵害ともなります。
    
     さらに、タレントやスポーツ選手などの有名人の写真を広告など商業目的で掲載する
     と、パブリシティー権の侵害ともなります。 

     パブリシティー権とは、タレント、スポーツ選手などの有名人が自己の肖像や氏名を独
     占的に営業活動に利用することについての財産的権利であります。 

     そこで、タレントの場合は所属事務所またはプロダクション、プロ野球選手やサッカー
     選手(Jリーガー)の場合は所属チームの許諾を得る必要があります。
     しかし、現実的には一般の方に許可を出すことはないようです。     
                                              質問集に戻る

Q14.インターネット上の掲示板に書かれた内容は著作権法で保護されるの?

A14.書き込み、イラストなどが創作的に表現されたものであれば著作物となり保護されます。
     そのため、投稿者の許諾なしにまとめサイトに転載するなど複製して使用することはで
     きません。

     なお、自分の著作権を侵害する書き込み等を見つけた場合、プロバイダ責任制限法に
     より、掲示板サイト管理者に対し書き込み等の削除請求及び、発信者情報(書き込みし
     た者)の開示請求をすることができます。 

     それに加え、掲示板サイト管理者が著作権侵害の書き込み等であることを知りつつ放
     置した場合は、掲示板管理者に対し損害賠償請求をすることができます。 
                                                質問集に戻る

Q15.会社の会議で使用するため新聞記事等の著作物をコピーするのは自由なの?

A15.仕事で使用するため著作物を無断でコピーすることは複製権の侵害となります。
     なぜなら、会社内で業務上使用するための複製は、「私的使用のための複製」に該当
     しないからです。

     そのため、会議や研修など会社内の業務で使用する場合は、著作権者の許諾を得な
     ければなりません。 

     ただし、キャラクターなど著作物を商品化し使用することが前提にある場合は、企画書
     などに対象著作物を後に許諾を得ることを条件にコピーすることが許されています。    

     また、コピーしたい著作物の複写権を(公社)日本複製権センター(JRRC)が管理し、
     かつ、勤務先の会社がJRRCと複写使用許諾契約をしていれば、20部以内なら許諾
     なしにコピーすることができます。
                                                質問集に戻る

Q16.著作物を公表または発行した事実を証明する方法は?

A16.50通以上の受領書があれば、50人以上の者が著作物を受領したことを証明すること
     ができます。

     また、書店などの販売者による50部以上販売された旨の販売証明書1通でも証明す
     ることができます。

     なお、展示または上映することなどにより著作物を公表した場合は、50人以上が鑑賞
     した旨の展示証明書、上映証明書、それから、上演・演奏証明書で証明することがで
     きます。 
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Q17.ホームページの著作物を著作権登録するには?

A17.著作物をホームページ上で見たということを1人でも証明(掲載証明書を作成)できれ
     ば登録(第一公表年月日の登録)をすることができます。

     なぜなら、サーバーにアップロード(送信可能化)した時点で公表したものと見なされ、
     かつ、50人以上の者のアクセスが可能となるからです。

     なお、HTMLで記述した部分(段落、改行、フォント、テーブル、リンクなど表現された
     部分)については、プログラム著作物として登録することができます。 

                                                質問集に戻る
Q18.相続により著作権を取得した際は登録する必要があるの?

A18.著作権移転の登録をする必要がありません。なぜなら、著作権登録制度には、不動産
     登記でいう保存登記に該当するものがないからです。

     それから、相続、企業の合併等の一般承継により取得した場合は、第三者対抗要件の
     問題は生じないからであります。

     その代わり、遺産分割協議の中で著作権を相続する者を決め、遺産分割協議書に明
     記しておくべきです。 

     また、生前に遺言書を作成しその中で著作権の扱いについて定めておくのが最善であ
     ると考えられます。 

     その際、翻案権等の二次的著作物に関する権利も含む場合は、「著作権(著作権法第
     27及び第28条に規定する権利も含む)」を相続するまたはさせると明記するのが良い
     かと思います。
                                                 質問集に戻る

Q19.登録がないと著作権侵害している者に自己の権利を主張できないの?

A19.著作権侵害者に対しては、登録がなくても自己の著作権を主張することができます。
     なぜなら、第三者対抗要件の「第三者」とは、「一般に登録がないことを主張することに
     正当な利益を有する者」であります。そのため、著作権侵害者は正当な利益を有しない
     からです。

     しかし、実務的には、自らが著作権者であることを公的に証明できなければ法的措置を
     とることは不可能であります。

     そのため、著作権登録をし、または存在事実証明書を作成し有利な証拠を確保しておく
     べきです。
                                                質問集に戻る
 
Q20.著作権ライセンス契約とは?

A20.ライセンサーが自己に所有権及び著作権を留保させた状態で、ライセンシーに権利の
     全部または一部の使用を許諾し、ライセンサーに使用料を支払う旨の契約(使用許諾
     契約)であります。

     例えば、プログラム使用許諾契約、レコード原盤供給契約などが挙げられます。
       
     その特徴は、著作権者(ライセンサー)から使用者(ライセンシー)に著作物の所有権及
     び著作権が移転せず、使用者に許諾された目的の範囲内で著作物を使用する権利の
     みが保障されることです。

     そこで、後々のトラブルを避けるため、ライセンサーに著作物の所有権及び著作権が帰
     属していること、かつ、「使用許諾」であること、さらには、使用方法や条件などを契約書
     に必ず明記しておくべきです。

     また、ライセンシーはあくまでも契約の目的及び条件で定めた範囲内で使用することが
     認められるのであって、目的の範囲を超えて(目的外)使用すると契約違反だけでなく、
     著作権侵害にもなるので注意が必要です。

     なお、一般の方向けの簡易な使用許諾契約書については、文化庁のサイトで公開され
     ている著作権契約書作成支援システムを利用すれば、必要事項を入力することで自動
     的に契約書を作成することができます。
                                                質問集に戻る
                                                 
Q21.原稿の買取りは著作権を譲渡したことになるの?

A21.買取りの契約に際し、当事者間で著作権を譲渡する旨が明確にされてない限り、著作
     権の譲渡にはならないと考えられます。

     それに加え、翻訳権、翻案権、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、譲
     渡する旨を明記しないと譲渡されなかったものと推定されます。 

     判例においても、「買取りには、著作権譲渡の意味で使用される場合のほか、一定範
     囲で使用許諾料の支払いが定額である意味で使用する場合などがあることから、直ち
     に著作権譲渡を意味するものではない」と示されています。 

     そのため、契約書を作成し、「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条に規定
     されている権利も含む)を譲渡する」と明記する必要があります。
                                                質問集に戻る
   
Q22.複製権侵害の判断基準は?

A22.判例上、複製権侵害となる複製は、「既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚
     知させるに足りるものを再製すること」とされています。

     その判断は、一般人の通常の注意力を基準として、1.著作物と複製物が同一である
     か(同一性)、2.複製物が著作物に依拠して製作されたか(依拠性)を基準として判断
     されます。 

     同一性については、完全に同一であること(デットコピー)のみならず、実質的に同一で
     あることも含まれます。 
  
     従って、全く同一のものを再製する必要がなく、多少の修正などがあっても著作物の同
     一性を変じない限り、同一物の複製にあたり複製権侵害となります。

     逆に、既存の著作物に全く接することなく、その存在を知らずに全く同一のものを製作
     した場合(偶然一致した場合)は、複製にあたらず複製権侵害とはなりません。 

     ただ、判例においては、表現された内容が半分以上共通ないし同一のものについては
     依拠性を認める傾向にあります。
                                                質問集に戻る

Q23.プログラム特許と著作権の違いは?

A23.プログラム特許とは、コンピュータの利用に係る発明であります。
     発明と認められるには、特許法2条1項により、「自然法則を利用した技術的思想の創
     作で高度なもの」でなければなりません。

     例えば、自然法則を利用しているプログラム(機械的装置の制御のためのコンピュータ
     プログラムなど)が特許の対象となります。

     その際、発明の部分はプログラムのパッケージとして組み込まれるので、特許権及び
     著作権の2つの権利が発生します。

     一方、数学上の原理など自然法則以外の法則を利用しているプログラムは特許の対
     象とはならず、プログラムの著作物となります。 

     ただ、特許出願すると後に出願内容が公開されるため、特許が成立しなかった場合は、
     重要なノウハウ(営業秘密)が流出してしまうことにもなります。

     特許の成立が必ずしも容易ではないことを考えると、この点も踏まえたうえで対応すべ
     きです。 
                                               質問集に戻る
                                                
Q24.デジタル機器にて私的な録音、録画を行わない場合、補償金を返還してもらえるの?

A24.結論を言えば、、私的録音録画補償金の返還請求をすることができます。

     その場合、指定管理団体(SARAHまたはSARVH)に対し返還請求をすることになりますが、

     その際、返還請求をする者が、「これまでも、及び、これから先の将来にわたって録音、録画
     を全く行わないということ」を証明する必要があります。

     なお、返還を行うかどうかの判断については、購入の主体、利用状況等の諸事項を踏まえて
     返還基準に従い判断することとしています。       
                                                質問集に戻る

Q25.外国の著作物を使用するにあたり注意すべきことは?

A25.まず、著作物の国籍を確認する必要があります。
     最初に著作物が発行された国が、著作者の国籍に関係なく、著作物の国籍となります。

     次いで、著作物の保護期間を確認する必要があります。
     外国の著作物の保護期間は、日本が条約上保護義務を負う著作物については、日本の
     著作権法の保護期間が適用されます。

     その際、保護期間の相互主義により、日本より保護期間が短い国の著作物は、その国
     の保護期間だけ保護すればよいことになっております。

     例えば、ある国の著作権法上の保護期間が著作者の死後30年である場合は、日本国
     内においてもその国の著作物を30年だけ保護すれば足ります。
 
     逆に、日本より保護期間が長い場合は、原則どおり著作者の死後70年だけ保護すれば
     足ります。 

     そのため、使用する著作物の国の著作権法を事前に調査しておく必要があります。

     また、平和条約で定められた保護期間の戦時加算により、連合国の国民が第二次世界
     大戦前または戦争中に取得した著作物については、通常の保護期間に戦争期間を加算
     して保護しなければなりません。

     なお、(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)などの著作権管理事業者は、外国の著作
     権管理事業者との間で相互管理契約を締結しているので、音楽など外国の著作物を使
     用する際は問い合わせをしてみるべきです。 

     この点について、JASRACの作品データベース検索サービス(J‐WID)で確認すること
     もできます。
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Q26.インターネット放送の著作権法上の扱いは?

A26.インターネット放送(IPマルチキャスト放送も含む)は、従来のテレビ、ラジオ放送と何ら変
     わらないものであっても、著作権法上の放送または有線放送に該当しません。

     なぜなら、著作権法上の放送・有線放送と認められるには、公衆によって同一内容の送
     信が受信されることを目的として行う送信であって、コンテンツが常に公衆の手元まで届
     いている形態の送信である必要があります。 

     インターネット放送による送信は、公衆からのリクエストがない限り、コンテンツはサーバ
     までしか送信されておらず、公衆がコンテンツにアクセスすることで初めてサーバから送
     信が行われるため、同一内容の送信が同時に受信されるものではなく、かつ、コンテン
     ツが常に公衆の手元まで届いている形態の送信ではないため、放送または有線放送
     に該当しません。

     そのため、インターネット放送事業者には、著作隣接権(放送事業者の権利)が保障され
     ません。 
    
     従って、第三者による著作隣接権の侵害を理由とする差止請求などの法的措置を独自
     にとることはできず、著作権者が著作権侵害を理由として差止請求をすることになります。

     それに加え、放送事業者等による一時的固定が認められないため、放送のために媒体
     への一時的な録音・録画を行う際も、別途著作権者から複製の許諾を得なければなりま
     せん。

     なお、現在政府の知的財産戦略本部にて、インターネット放送事業者に対しも著作隣接
     権を付与するかどうか議論されているので、今後の動向が注目されます。    
                                                 質問集に戻る

Q27.電子出版の著作権法上の扱いは?

A27.電子出版とは、CD-ROM、それから、電子ジャーナルや電子新聞、電子書籍などのよう
     に文字、音楽、画像などの情報を電子化して出版することであります。

     これまで、著作権法上の出版は、著作物を原作のまま印刷その他の機械的または化学
     的方法により文書または図画として複製することで、書籍、雑誌、画集、写真あるいは楽
     譜といった紙媒体による出版のみを対象としていました。 

     しかし、法改正により、電子計算機を用いてその映像面に文書または図画として表示さ
     れるようにする方式により記録媒体に記録された電子的記録として複製すること(DVD
     ‐ROMなどパッケージ型の電子出版)と、

     電子計算機を用いてその映像面に文書または図画として表示されるようにする方式に
     より記録媒体に記録された複製物を用いて公衆送信すること(ダウンロードまたはストリ
     ーミングなどインターネット配信型の電子出版)が、電子出版権として保障されます。

     そこで、電子出版契約(利用許諾契約も含む)において、パッケージによるものなのか、
     それとも、インターネット配信によるものなのか、あるいは、そのいずれを含むものなの
     かを契約目的で明確にする必要もあります。

     電子出版においても、出版権者の義務、著作権者の権利、それから、出版権の存続期
     間など出版権に関する規定が適用されることは変わりありません。 
                                                質問集に戻る 

Q28.著作権侵害における損害額の計算方法は? 

A28.著作権侵害による損害額を算定するには4つの計算方法があります。

     第1に、著作権侵害行為によって加害者が利益を得ている場合は、その利益額を損害額
     として請求することができます。 
     この利益とは、売上総利益(売上高から売上原価を差し引いた額)を意味します。

     ただし、権利者が加害者と同じ方法で著作物を使用し利益を得られる確実性がある場合
     に限られます。

     第2に、著作権者が著作物を販売する能力がある場合は、「加害者の譲渡数量」×「権利
     者の単位あたりの利益額」を損害額として請求することができます。

     インターネットで無断配信された場合は、「ダウンロードの回数」に基づいて損害額を算定
     します。 

     この方法においては、権利者の販売する能力を超える部分については、ライセンス料相
     当額を損害額として算定することができます。
      

     なお、第三者にライセンスをし自ら販売を行っていない場合は、この方法を用いることは
     できません。 

     第3に、著作権の行使につき通常受けるべき利益の額(ライセンス料相当額)を損害額
     として請求することができます。 
     計算式は、「加害者の譲渡数量×権利者のライセンス料」となります。

     ライセンス料を決めている場合は、それをベースに損害額を計算することになります。
     ライセンス料を決めていない場合は、業界で一般に行われているライセンス料の算出方
     法をベースに損害額を計算することになります。

     第4に、侵害された著作権が著作権等管理事業者により管理されている場合は、当該
     著作権等管理事業者の使用料規定により算出した額を損害額として請求することがで
     きます。

     それから、著作者人格権(実演家人格権も含む)を侵害された場合については、慰謝料
     (精神的損害)を請求することができます。

     慰謝料の算定は、侵害行為の態様、著作者の社会的地位などによって決まることにな
     るが、これまでの判例を基準にすると、ほとんどのケースは5万から20万円が相場とな
     っております。
                                               質問集に戻る

Q29.フェアユース(公正利用)とは? 

A29.フェアユース(公正利用)とは、アメリカ著作権法にある規定で、教育や批評、研究など
     公正な目的で著作物を使用する場合は、権利者の許諾なしに使用できること(自由利
     用)を認める制度であります。

     現在、日本でもフェアユース導入に向け議論が始まっております。
     日本の著作権法は自由利用できるケースを限定しておりますが、フェアユースはこれ以
     外のケースでも自由利用を可能とするものです。

     フェアユースにあたるかは、著作物の使用目的、使用量、創造性、権利侵害の程度を基
     準に総合的に判断されます。

     そこで、研究目的での著作物のネットアーカイブ、業務目的での著作物のファクス送信や
     サイトの複製などはフェアユースにあたる可能性が高いです。
                                                質問集に戻る

Q30.所有権と著作権との関係は?  

A30.所有権は、物(有体物)を排他的に支配する権利であります。
     著作物が複製されたCDやDVD、書籍などは有体物であるため所有権の効力が及びま
     す。 

     一方、 著作権は、著作物(無体物)を排他的に支配する権利であります。 
     CDに録音された音楽、DVDに録画された映画、絵画の原作品などは著作物であるため
     著作権の効力が及びます。 

     所有権の効力は、有体物を排他的に支配することができるのみにとどまるため、所有権
     と著作権(著作隣接権も含む)とは全く別の権利であります。 

     そのため、パソコンソフトを購入した場合、CD-ROMなどの納入物の所有権は買主に移
     転するが、プログラム著作権については著作権譲渡の合意がない限り移転しないことに
     なります。 
                                                 質問集に戻る

Q31.ホームページに動画などをリンクすることは?

A31.リンクとは、自分のホームページに他人のホームページなどを結びつけてクリックするだけ
     で目指すウェブサイトやページにジャンプできるようにすることであります。

     そのため、アップロードされた動画などをホームページにリンクすることは、単にサイト上に
     あるコンテンツにたどり着けることを指示したにとどまり、そのコンテンツを複製したり送信
     したりするものではないので著作権侵害にはなりません。

     ただし、ホームページのフレーム内にコンテンツを取り込んだ場合は、複製権及び同一性
     保持権侵害になるので注意すべきです。

     また、漫画やアニメなどのコンテンツを違法にアップした海賊版サイトに誘導する目的でリ
     ンクを張ることは著作権侵害の幇助となるので注意すべきです。
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